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【2019年版】『家庭生活等に関する意識について』の調査結果について 

内閣府が男女共同参画社会に関する世論調査の2019年版を公開しました。

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男女平等

その中の『家庭生活等に関する意識について』の調査結果について、コメントしていきます。

この記事を読むのに必要な時間は約 10 分です。

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「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきである」という考え方に対する意識

質問内容は、『 「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきである」という考え方について、あなたはどうお考えですか。この中から1つだけお答えください。 』です。

回答としては、

  • 賛成
  • どちらかといえば賛成
  • わからない
  • どちらかといえば反対
  • 反対

の5択です。

前回の平成28年(西暦2016年)9月の調査と比較すると、賛成派が40.6%から35.0%に下がり、反対派が54.3%から59.8%に上がっています。

正直なところ、この賛成派の割合のままでなら女性の社会進出は思うように進まないだろうなという印象です。

賛成派が多い年齢層は70歳以上でした。更に男女別で見ると、男性の方が賛成派が多くなっています。

少し意外だったのは、18~29歳までの男性よりも、30~39歳までの男性の方が反対派が多いんですね。

30~39歳までの男性の反対派は、なんと18~29歳までの女性よりも多くなっています。

これは、ある程度子供が大きくなるまでは妻に家庭にいてもらって、その後で社会復帰をしてほしいと思っている世代と考えるのが自然な気がしますね。

賛成とする理由

質問内容は、『(問6で「賛成」、「どちらかといえば賛成」と答えた方(926 人)に)それはなぜですか。この中からいくつでもあげてください。(複数回答) 』です。

回答としては、

  • 妻が家庭を守った方が、子供の成長などにとって良いと思うから
  • 家事・育児・介護と両立しながら、妻が働き続けることは大変だと思うから
  • 夫が外で働いた方が、多くの収入を得られると思うから
  • 日本の伝統的な家族の在り方だと思うから
  • 自分の両親も役割分担をしていたから
  • その他
  • 特にない

です。

『妻が家庭を守った方が、子供の成長などにとって良いと思うから』にいたっては、55.2%もありました。

これは社会的どうとかではなく、単純にそう思っている人が多いということでしょう。

『家事・育児・介護と両立しながら、妻が働き続けることは大変だと思うから』も44.7%ありました。

これは社会的に妻側の負担が大き過ぎると考えている人が多いということでしょう。

『日本の伝統的な家族の在り方だと思うから』が19.2%もあるのが意外でした。伝統を重んじる人が多いということでしょう。

反対とする理由

質問内容は『(問6で「どちらかといえば反対」、「反対」と答えた方(1,581 人)に)それはなぜですか。この中からいくつでもあげてください。(複数回答) 』です。

  • 固定的な夫と妻の役割分担の意識を押しつけるべきではないから
  • 妻が働いて能力を発揮した方が、個人や社会にとって良いと思うから
  • 夫も妻も働いた方が、多くの収入が得られると思うから
  • 男女平等に反すると思うから
  • 家事・育児・介護と両立しながら、妻が働き続けることは可能だと思うから
  • 自分の両親も外で働いていたから
  • その他
  • 特にない
  • わからない

です。

『固定的な夫と妻の役割分担の意識を押しつけるべきではないから』は56.9%と前回の52.8%より上がっているのに対し、『妻が働いて能力を発揮した方が、個人や社会にとって良いと思うから』が43.3%と前回の46.8%より下がっているのが特徴です。

「固定的な役割を押し付けられるのは嫌だが、妻が働くこと自体が良いことだとは思っていない」ということなんでしょうか。

『妻が働いて能力を発揮した方が、個人や社会にとって良いと思うから』と『男女平等に反すると思うから』は、男性の方が割合が高くなっています。

男性が家事、子育て、介護、地域活動に積極的に参加するために必要なこと

質問内容は、『今後、男性が家事、子育て、介護、地域活動に積極的に参加していくためにはどのようなことが必要だと思いますか。この中からいくつでもあげてください。(複数回答) 』です。

回答としては、

  • 夫婦や家族間でのコミュニケーションをよくはかること
  • 男性による家事・育児などについて、職場における上司や周囲の理解を進めること
  • 男性が家事・育児などに参加することに対する男性自身の抵抗感をなくすこと
  • 社会の中で、男性による家事・育児などについても、その評価を高めること
  • 年配者やまわりの人が、夫婦の役割分担などについての当事者の考え方を尊重すること
  • 労働時間短縮や休暇制度、テレワークなどのICTを利用した多様な働き方を普及することで、仕事以外の時間をより多く持てるようにすること
  • 男性が家事・育児などに参加することに対する女性の抵抗感をなくすこと
  • 男性が家事・育児などを行うための、仲間(ネットワーク)作りをすすめること
  • 男性の家事・育児などについて、啓発や情報提供、相談窓口の設置、技能の研修を行うこと
  • その他
  • 特に必要なことはない

です。

どれも高い割合ですが、『夫婦や家族間でのコミュニケーションをよくはかること』が一番高いのは良い傾向ですね。

結局は、夫婦間のコミュニケーションによって成り立ちますからね。

問題なのは『男性による家事・育児などについて、職場における上司や周囲の理解を進めること』がその次に高いことです。

職場で男性側が育児や家事を優先すると何かしら後ろめたい気持ちを持つ人が多いということでしょう。

男性が育児休暇を取ると出世に響くという話は確かに良く聞きます。くだらない風潮だと思います。

『男性が家事・育児などに参加することに対する男性自身の抵抗感をなくすこと』も次に高いのは問題です。

これに関しては本人の意識の問題です。

私も昔、自炊している話をしたら男性先輩社員に「女子か!」みたいなことを言われた記憶があります。

こういった意識の人達を変えていく必要があるでしょうね。「料理は女がするもの」みたいなイメージをどうにかする必要がありますね。

どの回答も割合が高水準にあります。どれも対応していく必要があると言えるでしょう。

家事等に対する具体的評価

質問内容は、『 「育児、介護などの家庭で担われている役割は社会的にも重要であるため、社会全体で評価していこう」という考え方がありますが、あなたは具体的にどのような形で評価することが必要だと思いますか。この中から1つだけお答えください。 』です。

回答としては、

  • 手当の支給や税制上の優遇などで経済的に評価する
  • 表彰などで社会的に評価する
  • この役割について経済的・社会的に評価する必要はない
  • その他
  • わからない

の5択です。

育児

まずは、育児についてです。

男女ともに、どの世代でも『手当の支給や税制上の優遇などで経済的に評価する』が高く、68.6%でしたが、前回の70.3%より下がっています。

確かに最近では、「イクメンともてはやすのはおかしい。当たり前のことなんだから。」という風潮も増えてきましたからね。

基本的には年齢が上がるにつれて、『この役割について経済的・社会的に評価する必要はない』と答えた人が多くなっています。

とくに70歳以上で25.3%と高い水準にあることを覚えておいてください。次の介護についてと割合が大きく変わります。

介護

続いて介護についてです。

意外だったのは、育児についてよりも評価派が多いんですね。

これは若い世代でも共通です。

現状では、育児と違い介護する側に何もメリットがありませんからね。

70歳以上にいたっては、育児では『この役割について経済的・社会的に評価する必要はない』が25.3%と高かったのに対して、介護については16.6%しかありません。

不思議なものですね。

育児・介護以外の家事

最後に育児・介護以外の家事についてです。

これに関しては、基本的に男女ともにどの年代でも『この役割について経済的・社会的に評価する必要はない』が一番多いですね。

ただ、ここで注目なのが50~59歳です。

この年代だけ『手当の支給や税制上の優遇などで経済的に評価する』の方が『この役割について経済的・社会的に評価する必要はない』よりも多いんです。とくに男性の50~59歳が多いですね。

この年代がとくに家事に対して抵抗感がある世代ということなんでしょうか。

家事等に対する配偶者との役割分担

質問内容は、『あなたは、育児、介護などの家庭で担われている役割について、あなたと配偶者でどのように分担したいと思いますか。あなたが育児、介護などをしている、していないに関わらず、保育所、訪問介護、家事代行など外部サービスの利用も含め、あなたの気持ちに最も近いものを1つだけお答えください。なお、配偶者のいない方も、配偶者がいることを想定してお答えください。』です。

回答としては、

  • 自分と配偶者で半分ずつ分担(外部サービスは利用しない)
  • 自分の方が配偶者より多く分担(外部サービスは利用しない)
  • 配偶者の方が自分より多く分担(外部サービスは利用しない)
  • 外部サービスを利用しながら、それ以外は自分と配偶者で半分ずつ分担
  • 外部サービスを利用しながら、それ以外は自分の方が配偶者より多く分担
  • 外部サービスを利用しながら、それ以外は配偶者の方が自分より多く分担

です。

育児

まずは育児についてです。

これは男女差が顕著に現れました。

男性が『自分と配偶者で半分ずつ分担(外部サービスは利用しない)』で35.4%なのに対して、女性は27.9%です。

逆に男性が『・自分の方が配偶者より多く分担(外部サービスは利用しない)』で4.9%なのに対して、女性は25.4%です。

それに世代の違いも顕著に出ていました。

『自分と配偶者で半分ずつ分担(外部サービスは利用しない)』と『外部サービスを利用しながら、それ以外は自分と配偶者で半分ずつ分担』は若いほど、割合が多くなっています。

これはいい傾向ですね。

介護

介護については、育児と違った結果になりました。

全体的に『外部サービスを利用しながら、それ以外は自分と配偶者で半分ずつ分担』が断トツで多くなっています。

自分達だけで介護をするのは厳しいと思っている人が多いということでしょう。

育児・介護以外の家事

育児。介護以外の家事はどうでしょうか。

これは介護とは逆に『自分と配偶者で半分ずつ分担(外部サービスは利用しない)』が多い結果となりました。

70歳以上のみ、他の回答もそこまで離れていませんが、他の世代では断トツです。

特に若い世代ほど、多くなっています。

それにここでも女性は『自分の方が配偶者より多く分担(外部サービスは利用しない)』の割合が多くなっています。

「仕事」、「家庭生活」、「地域・個人生活」の関わり方

質問内容は、『生活の中での、「仕事」、「家庭生活」、地域活動・学習・趣味・付き合いなどの「地域・個人の生活」の優先度についてお伺いします。』です。

希望優先度

希望優先度について一つ選ぶ質問です。

回答としては、

  • 「仕事」を優先したい
  • 「家庭生活」を優先したい
  • 「地域・個人の生活」を優先したい
  • 「仕事」と「家庭生活」をともに優先したい
  • 「仕事」と「地域・個人の生活」をともに優先したい
  • 「家庭生活」と「地域・個人の生活」をともに優先したい
  • 「仕事」と「家庭生活」と「地域・個人の生活」をともに優先したい
  • わからない

の8択です。

バラつきがありますが、女性は『「家庭生活」を優先したい』の割合が多く、男性は『「仕事」と「家庭生活」をともに優先したい』の割合が多くなりました。

『「仕事」と「家庭生活」をともに優先したい』は男女ともにそこまでの違いはありませんが、大きく違うのは『「仕事」を優先したい』の割合です。

女性が5.0%しかいないのに対し、男性は15.5%となっています。こういうところが女性の社会進出を妨げている要因の一つでもあります。

ただ『「家庭生活」を優先したい』は、全体として前回の25.5%から28.4%に上がっています。

家庭を優先したいという希望が増えてきているんですね。

現実(現状)

希望に対して、現実(現状)はどうでしょうか。

回答としては、

  • 「仕事」を優先している
  • 「家庭生活」を優先している
  • 「地域・個人の生活」を優先している
  • 「仕事」と「家庭生活」をともに優先している
  • 「仕事」と「地域・個人の生活」をともに優先している
  • 「家庭生活」と「地域・個人の生活」をともに優先している
  • 「仕事」と「家庭生活」と「地域・個人の生活」をともに優先している
  • わからない

の8択です。希望と同様ですね。

男女の差が顕著に表れていて、男性は『「仕事」を優先している』が36.5%ですが、女性は16.6%です。

逆に男性の『「家庭生活」を優先している』が19.4%で、女性が39.9%です。

希望よりも更に差が付いた結果となりましたね。

60歳以上は定年を迎えてか、『「家庭生活」を優先している』が非常に多くなっています。

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