2020年4月に大学が無償化されることをご存知でしょうか?
実は昨今、大学についての議論だけでなく、 「高校までを義務教育化したらどうか」という意見もあります。
これは、決定している高等教育の無償化とは違います。
今回は、「高校」「高等学校」の義務教育化についての話です。
そもそも、 高校まで行くのが当たり前の時代に義務教育が中学までというのは、如何なものかということなんですね。
今回はその「高校までの義務教育化」について、まとめてみました。
この記事を読むのに必要な時間は約 6 分です。
高校までの義務化メリット
まず、仮に高校までを義務化した場合、どのようなメリットがあるのでしょうか。
世間一般的に議論されている内容や、私なりの考えをまとめました。
貧困対策になる
現代日本の生活は、随分裕福となりました。高校に行くのは当たり前で、 更にその後大学や専門学校に行くのさえ当たり前になりつつあります。
もちろん、地方ではまだまだ高卒や中卒の方は多いですが、 それでも段々と減ってきています。しかしそんな中、中卒で働くことを選択した層が、 まともに就職できる可能性が減ってきているのも事実です。
義務化されれば、 誰でも高校までの教育を受けられるようになり、就職率も上がると言われています。さらに、 各家庭で高校までの学費負担が減ることにより、 進学を希望する学生が進学しやすい環境を作ることができるのです。
ただ現在は、高校には「高等学校等就学支援金」という名の授業料無償化が実施されています。
これは、各家庭に支給されるのではなく、学校側へ代わりに支払われます。そして、その金額を生徒の授業料から引くわけです。結果的に公立高校であれば、月額授業料が9,900円で固定ですので、無償になるということです。
そう考えると、義務化されることによる金銭的メリットは、あまりないのかもしれませんね。
国民の学力底上げに繋がる
個人差はありますが、 やはり高校まで行くのと行かないのでは、学力に差が出てしまいます。あくまで、最低ラインや標準ラインを引き上げるだけですが、 学力の底上げは国に取ってプラスになると言えます。
高校までを義務化するとなると、 今までの9年間の義務教育に、 更に3年間も教育期間が増えることになります。プログラミング等の専門知識や、 実際に社会に出てから必要な知識を身に付けさせることも可能になるかもしれません。
6年、3年という区切りが見直される
高校が義務化されるということは、今までの小・中・高という区切りが変更になる可能性もあります。
6年-3年-3年ではなく、9年-3年や6年-6年にすることも理論上は可能になります。
そうなると、授業内容もより自由度が上がるかもしれませんね。
高校までの義務化デメリット
では、逆に高校を義務教育化するとデメリットはどういったものがあるでしょうか。
費用(税金)が掛かりすぎて現実的ではない
都会では問題ないのかもしれませんが、 田舎は一つの市に一つの高校しか無い場合がありますので、 高校に行く人が増えるということは新たに学校を作る必要があるかもしれません。
また、 建設等の初期投資だけでなく、教科書代等の費用も掛かります。 全体の費用は莫大になると予想されます。
今までは受験があったが、それが無くなる高校がある
私の地元の高校もそうなのですが、 定員は割れていても、一応入学試験はありました。
受験をすることで、みんなある程度の勉強をしていたのですが、 それ自体をしなくなる可能性があります。そうなると、 逆に勉強をする機会も減り、勉強のモチベーションが下がり、 学力が低下するのでは?という意見もあります。
私立高校が潰れてしまう
私立高校の未来はどうなるのでしょうか??
例えば、 「学力が足りず公立高校には入れないけど、誰でも入れる私立高校に行く」 といった選択肢がなくなるので、 そういった私立高校は潰れてしまうと思います。
私立高校が生き残るには、今も昔も何か工夫が必要だと思います。しかし、 何の魅力もない学力も低い私立高校が潰れるのは、当たり前でしょう。それは経営努力で解決する問題だと思います。
学力の高い私立高校は、需要が残ると思います。 それは、今も有名な中高一貫が生き残っていることからもわかるでしょう。
学校を辞めたい人が辞められない
今までは、中学を不登校で過ごし卒業したら、それでおしまいでした。
しかし、さらに3年間を義務教育ということで高校に在籍する必要があるのです。それが苦痛な人もいるでしょう。
賛成派・反対派の意見にはどんなものがある?
メリット・デメリットとは別に様々な意見があります。
高校以降は義務教育ではなく、道を自主的に決めるべき
勉強したい人は奨学金を借りてでも行けばいいし、 やる気があるなら関係ないといった意見の人ですね。こういった意見の人は、大学の無償化も反対派のことが多いです。
しかし、そういった方の中でも、 大学生活の「生活費・学費・教材費」すべてを奨学金とアルバイトで払った方は非常に少ないです。何かしら、親の援助があった人がほとんどなんですよね。
誰にも助けてもらわずに自分が「努力」をしたから今があるのであって、 みんなも「努力」すればなんとかなると思っているのでしょうか。
何故、自分ができなかったのに他の人にそれを強いるのでしょうか。 理解できませんし、説得力も感じません。
もちろん、 「生活費・学費・教材費」すべてを奨学金とアルバイトで払った方もいるでしょう。でも、それは少数派であり、それが可能な人は非常に少ないです。 そこまで頑張れる人はほとんどいません。
まだ10代の子供たちを、できないからといって切り捨てるのは、早過ぎます。
義務化したらいいものじゃない
確かに、義務化をすればすべて良くなるというものではないという意見はわかります。しかし、義務化することにより、最下層の学力底上げになると私は信じています。
それに、上を目指したい人は目指せばいいのです。それを阻害しているのは、 どちらかといえば、「飛び級制度」がないことの方が問題でしょう。
子供への投資は国を挙げてするべき
この件については、 大学の無償化と完全に切り離すのは難しいです。
それについての記事も書いています。
私は、子供の教育費には国を挙げて投資するべきだと思っています。そのためには現在の義務教育のカリキュラムについても、見直しが必要だと考えています。
もし、 高校までが義務化した場合は、 是非プログラムについてと、選挙についての授業に力を入れてほしいですね。
たとえば、 3人づつのグループに分かれ、 各グループにランダムに現政党のどれか(支持政党でない政党)を振り分けます。そして、各グループにディベートをしてもらうのです。
これによって、各一人ひとりが政治について勉強をするでしょう。 それも他社の意見も聞くことができるので、偏った知識にはなりません。
こういった新しいカリキュラムを増やすことも、 高校までの義務化によって可能になってくるのではないでしょうか。
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そんな現代だからこそ、 高校までの義務化が効果を発揮するのではないでしょうか。