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モチベーションアップの方法をモチベーション理論から学ぶ

「社員のモチベーションを上げたい」「部下のモチベーションを上げたい」「モチベーションが上がらない」

そんな悩みを持つ人は大勢存在します。

昔から重要な課題だっため、上手くモチベーションを上げる方法を理論的に研究している人達も数多くいました。

そこで今回は、『モチベーション理論』かわから「モチベーションアップの方法」を説明していきます。

この記事を読むのに必要な時間は約 9 分です。

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モチベーション理論体系

まずは、モチベーション理論体系について説明します。

図をご覧ください。

モチベーション理論体系

まず、

  • 欲求説(内容説)
  • 過程説

の2種類に大きく分けられます。

『欲求説(内容説)』は、そもそも人が持っている欲求に着目した理論です。

対して『過程説』は、何をすれば人のモチベーションは上がるのかに着目した理論です。

正直、そこまで二つの説に大きな差はありません。

ひとまず、二つに分かれているという程度の認識で問題ありません。

欲求説(内容説)

では、欲求説(内容説)について何があるか見ていきましょう。

  • 欲求5段階説
  • X理論、Y理論
  • 2要因理論
  • ERG理論
  • 達成動機説

の5種類です。

いちばん有名なのは『欲求5段階説』だと思います。

他は知らないと何のことかがわからない理論ですね。『達成動機理論』は想像できますが…。

他の理論でも関連する部分はあります。

過程説

過程説には何があるのでしょうか。

  • 期待理論
  • 公平理論
  • 目標設定理論

こちらは、なんとなく想像できそうな理論ですね。

では、ここから本題として各理論について説明していきます。

マズローの欲求5段階説(欲求階層説)

では、最初は一番有名な『マズローの欲求5段階説(欲求段階説)』からです。

簡単に説明すると、人の欲求を5段階に分けて、「低次の階層の欲求が満たされると高次の欲求を求めるようになる」という理論です。

詳しく解説している記事が別にありますので、詳細が知りたい場合は下の記事を見てください。

>>マズローの自己実現理論(欲求段階説)新解釈から考察する現代社会の生き方

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経営学や心理学を学んでいると、必ず出てくるのがアブラハム・マズローが提唱した自己実現理論。欲求段階説や欲求5段階説、欲求ピラミッドとも言われています。基本的には、人間は低階層の欲求が先にきて、その欲求が満たされていると上の階[…]

マズローの欲求5段階

低次な欲求から順番に、

  1. 生理的欲求
  2. 安全欲求
  3. 社会的欲求(所属と愛情欲求)
  4. 自尊の欲求
  5. 自己実現欲求

となります。

 

マズローの欲求5段階

生理的欲求

生理的欲求は、本能的な生命維持活動に必要な欲求です。

水、食料、睡眠などがこれに当たります。

安全欲求

次に安全欲求です。

危険や恐怖などから逃れようとする欲求のことです。

一般的に、ここまでが低次の欲求と言われています。

社会的欲求(所属と愛情欲求)

社会的に生活することへの欲求です。

所属欲求、友情、愛情への欲求がこれに当たります。

自尊の欲求

名声や地位を求める欲求です。人から認められたい、尊敬されたいなどの欲求ですね。

現代では承認欲求と言った方がわかりやすいかもしれません。『尊厳の欲求』と言われたりもします。

自己実現欲求

報酬が出るとかそういうものの欲求ではなく、何かを成し遂げたいという欲求です。

大金持ちが何故仕事を辞めないのかというのは、こういう欲求が働いているからだと言われています。

この自己実現欲求を引き出せるかどうかがモチベーションアップの鍵になります。
そのためには、下の欲求を満たす必要があるということです。
ただし、すべて満たす必要はなく、ある程度のレベルまで満たされれば自己実現欲求は出てきます。
低次の欲求を満たして、気持ちの余裕を持たせることが重要なんです。

 

マクレガーのX理論・Y理論

マクレガーが、マズロー欲求5段階説を解釈した理論です。

『生理的欲求』『安全欲求』までが低次欲求という話をしましたが、マクレガーの解釈からそうなります。

X理論による人間観

X理論の基本となる人間観とされているのが、『生理的欲求』『安全欲求』によって動機付けられる人間観のことです。

基本的に仕事は嫌いだからしたくない、強制・統制・命令・処罰などの脅迫がなければ努力もしない。

責任感も持たないし、創意工夫もしないといった人間観です。

Y理論による人間観

Xとは真逆とも言える人間観です。

人は基本的に仕事が好きで、自ら目標を決めて努力する、責任感もあり、創意工夫もするといった感じです。

X理論・Y理論具体的にモチベーションアップに繋げる方法

マクレガーによると、現代社会ではX理論のように『生理的欲求』『安全欲求』によって動機付けられる人はいないという考えです。

何故なら、みんな働いていればご飯も食べられて住む場所も確保されます。

そんなすでに満たされている欲求を更に満たすのではなく、Y理論のような高次の欲求を満たすためにマネジメントすべきということです。

自ら目標や権限を持たせて働かせることこそがモチベーションアップに繋がるという理論ですね。

アージリスの未成熟・成熟理論

この理論は一覧には載せませんでしたが、一応マズローの欲求5段階説を基本としてて、高次欲求に絞った理論です。

この理論は、未成熟な自分から成熟した自分になるということこそがモチベーションアップに繋がるという考え方です。

具体的には、職務拡大(ジョブ・エンラージメント)で自己実現欲求を満たしていくという理論です。

職務を水平的に拡大することにより、能力発揮の機会を増やす動機付けとするんです。

そうなると、歯車感が薄れて自己実現欲求が満たされるというわけです。

ハーズバーグの2要因理論(動機付け・衛生理論)

2要因理論とは、まず要因を二つに分けます。

それが、

  • 衛生要因
  • 動機付け要因

です。

そして、衛生要因ではなく動機付け要因を重視すべきという理論です。

衛生要因

モチベーションを下げないための要因のことです。

たとえば、労働環境が悪い、人間関係が悪い、給与が低いなどのことですね。

マズローの5段階説だと、生理的欲求から社会的欲求(所属と愛情欲求)までのことです。

動機付け要因

自己実現欲求を満たすため要因です。

やりがいや責任などのことですね。

マズローの欲求5段階説だと、自尊の欲求と自己実現欲求のことです。

動機付け要因を重視する具体的な方法

先ほど、アージリスの未成熟・成熟理論を実現させる方法として、職務拡大(ジョブ・エンラージメント)で実現させるというのがありました。

動機付け要因を重視するには、職務充実(ジョブ・エンリッチメント)が有効です。

水平的に職務を拡大するのではなく、責任を多く持たせたり、レベルを上げたりするんです。

アルダファのERG理論

マズローの欲求5段階説を3段階とした理論です。

  • 存在(Existence)
  • 関係性(Relationship)
  • 成長(Growth)

でERGです。

存在(Existence)

『生理的欲求』『安全欲求』がこれにあたります。

関係性(Relationship)

『社会的欲求(所属と愛情欲求)』がこれにあたります。

成長(Growth)

『自尊の欲求』『自己実現欲求』がこれにあたります。

マズローの欲求5段階説との違い

マズローの欲求5段階性では、低次の欲求が満たされたら、高次の欲求で出てくるという理論でした。

ERG理論では、どの欲求も同時に発生するものであり、高次の欲求が満たされなければ低次の欲求が強くなるという強弱があるという理論なのが大きな違いです。

マクレランドの期待動機説(達成動機説)

これはマズローの欲求5段階説を3つに分けるのではなく、初めから低次の欲求である『生理的欲求』と『安全欲求』は抜きにして考えています。

X理論を切り捨てる考えと似ているかもしれません。

  • 『自己実現欲求』⇒『達成』
  • 『自尊の欲求』⇒『権力』
  • 『社会的欲求(所属と愛情よっきゅ)』⇒『親和』

に対応します。

期待動機説(達成動機説)の有効性

マクレランドは『達成』動機が強い人の方が、好成績を上げたいとする願望が強いことを発見しました。

これが、後のコンピテンシー理論で発展することになります。

コンピテンシー理論は、現在の人事評価の際にも用いられる有効な理論です。

簡単に説明すると、『好成績を上げる人が持つ行動特性』のことです。

コンピテンシー理論の詳細については、以下で記事にしまています。

>>コンピテンシー理論を学んで部下や後輩の指導・教育に使おう

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モチベーション

ブルームの期待理論

人間の動機というのは、『期待』と『誘意性』の両方の掛け算によって決まるという理論です。

例えば、『誘意性』が高い例としてアイドルと結婚するが100だったとします。

しかし、『期待』が0の場合、掛け算すると動機は0になります。

つまり、『期待』も『誘意性』も両方高くないと意味がないってことです。

仕事だと『誘意性』は、何かを成功した時に貰える報酬だとして、『期待』は成功可能性です。

成功可能性が低くても報酬が低くてもモチベーションアップにならないんです。

ロックの目標設定理論

最近では、目標管理制度というのを導入している企業も多いのではないでしょうか。

しかし、この目標は本人が納得していなければモチベーションアップにならないというのがロックの目標設定理論です。

なおかつ、本人が納得してさえいれば難易度が高ければ高いほど良く、曖昧な目標でなく明確な目標である方が効果があります。

アダムスの公平理論

人は、自己評価と他者評価がつり合っていないと不満が出るという理論です。

「自分はこれだけやっているのに給料が低い」となっては、過小評価ということで本人のモチベーションが低下するか、賃上げ交渉、転職するといった行動を取ります。

しかし、逆に「自分は何もやっていないのに給料が高過ぎる」となった場合は過大評価として、給料に見合った実力を付けるように努力するか、必要以上に評価が上がらないようにします。

具体的にはモラルの低下が発生するケースが多いです。

正当な評価をするのが大事であるという話です。

エドワード・L・デシの認知的評価理論

最後に、一覧にはありませんが、認知的評価理論についての話をします。

内発的動機付けによって行われている行動に、外発的動機付けを行うと、逆にモチベーションが下がるという理論です。

例えば、ボランティア活動をしている人がいたとします。

その人の内発的動機付けは「見返りを求めずに人の役に立ちたい」という純粋なものであって、「報酬をもらうこと」ではなかったとします。

にもかかわらず、報酬をあげたりなんかすると「あれ?お金目当てだと思われた?見返り求めてると思われた?それは嫌だな」となり、モチベーションが低下してしまいます。

これが、認知的評価理論です。

理論とは必ずしも全ての人に当てはまるわけではないが、指針と成り得る

一番有名で基本でもあるマズローの欲求5段階説も、後の研究などによって解釈が変わったり、考え方自体が変わって否定されています。

その他の理論も、国や文化、個人の性格によってモチベーションの上げ方は様々です。

世の経営者や上司は「○○の理論を試しているのに、何でモチベーションアップしないんだ!」となっているケースが非常に多いです。

一つのパターンだけで、全ての人がモチベーションアップするわけではありません。

あくまで理論を理解した上で、時代や状況によってモチベーション理論を使い分けることこそが最善の方法と言えるでしょう。

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