世界的にも新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行の影響で混乱している状況ですが、日本でも学生の休校で多大な盈影響が出ています。
そんな中、9月入学・新学期の案が出ています。
賛否両論の中、議論が進められることになりそうですが、メリット・デメリットにはどういったものがあるのでしょうか。
歴史的背景や、現実的に実現可能なのかなど、解説していきます。
この記事を読むのに必要な時間は約 6 分です。
個人的には賛成
まず、立場をはっきりさせておきますが私は9月入学・新学期に賛成です。
理由は、この後で細かく解説する中で出てきますが、なるべく簡潔に言うと「9月入学・新学期が浸透しきった後のデメリットが存在しない」ということからです。
それでは、解説していきましょう。
グルーバルスタンダード目線だと9月入学・新学期
実は世界標準的に見ると、9月入学・新学期が一般的です。
半数ほどの国が9月入学・新学期なんですね。
勿論、逆に考えるとそれ以外の月に入学・新学期にしている国もあるのですが、日本のような4月入学・新学期というのは、およそ3%ほどしかないんです。
日本のトップ大学といえば、東京大学ですがグルーバルな各国の大学と比較するとランキングでは低いままですよね。
そこで9月入学・新学期が実現すれば各国からグルーバルで優秀な人材が受け入れやすくなり、ランキングも向上するという考え方があります。
9月入学・新学期の影響は大きい
たとえば、東京大宇だけ9月とするわけにはいかないというのが大きなポイントです。
一つの大学だけ9月入学・新学期にしたところで、新卒の入社時期や高校卒業後の空白タイムなどが発生してしまいますからね。
足並みを揃えて9月入学・新学期とし、新卒入社時期もズラす必要が出てくるわけです。
これが難しいため、中々実現しなかったのが今までの流れです。
9月入学・新学期のデメリット
9月入学・新学期のデメリットから見ていきましょう。
卒業月と入学月がズレる
いわゆる「ギャップイヤー」「ギャップターム」などの名称で呼ばれるもので、いざ9月入学とした場合に卒業月が今まで通り3月にしても、逆に入学月に合わせて8月にしても空白の期間が存在してしまうという問題です。
たとえば、高校3年生が3月に卒業した後、9月まで大学に入学できないとなると、その期間に何をするのかという問題が出てきます。
ただ、これって日本特有の問題だったりもします。
学生自体に主体性がない人が多いため、自分で空いた期間に何をするのかが決められないってことなんです。
空白期間をデメリットとして考えてしまうんですね。
その間に勉強したり、経験を積んだりと私から見るとメリットに感じますけどね。
子供を養う必要があると思っている親からすると、負担になる可能性は消えませんけども。
企業の新卒採用時期を見直す必要がある
実際に9月入学・新学期が始まった後に関しては、卒業月が8月となりますよね。
そうなると、高校、大学の入学・新学期月に合わせて採用企業の入社時期も9月にする必要が出てきます。
これが大変というものです。
経営が厳しい学校の空白期間
9月入学・新学期が導入される最初の年は、3月卒業の可能性が高いため、その間の期間の授業料や入学料が入ってこないことになります。
もし、自転車操業の経営状態にある学校であれば、破産する可能性は充分あります。
これに関しては、政府が無利子の貸付を行うべきでしょう。
決算月などの影響
新学期に合わせた形で決算月を3月末としている企業が日本には多く存在します。
もちろん、年末にしている企業も多いです。
どこまで4月でないといけない企業があるのかはわかりませんが、影響がないとも言えません。
春が新生活という文化イメージが損なわれる
新学期といえば日本のイメージでは「桜」が思い浮かぶ人も多いでしょう。
それに合わせて学校の通学路に桜を植えている地域も実際に多く存在します。
それが今後は紅葉に変わることになるのでしょうか。
味気ないと考える人も多いでしょね。
9月入学・新学期のメリット
では、9月入学・新学期のメリットです。
グローバル人材が増えることによる学力の向上
グローバルスタンダード的な視点としては、9月入学・新学期は一般的です。
となると、それに合わせて日本の学校に留学しにくる学生や、逆に海外へ留学というのも時期を調整しやすくなります。
学力の向上というのは、国力の向上に密接に関わっています。
非常に重要なメリットと言えます。
休校中の学生達の救済となる
現在、日本の学生のほとんどは休校の影響で4月からの授業を受けられていません。
このまま4月入学・新学期として進むと受験期にある学生の学力低下が心配です。
それに現在では、オンライン授業も単位として認められていないことから、単位不足となる学生も多く存在するでしょう。
そんな学生達も9月入学・新学期が導入されれば、多少は救済されることでしょう。
そもそも日本が4月入学・新学期になった理由は米農業の影響
文化的に日本は昔から4月が入学・新学期と思われるかもしれませんが、違います。
実際には、明治時代までは9月入学・新学期でした。
メチャクチャ最近の話なんですよ4月入学・新学期は。
当時は、主要産業だった米農業は秋に収穫して、それが現金化されるのが遅かったんですね。
それに合わせて会計年度を4月~3月と定めたわけです。
今となっては、主要産業が米なんてこともありませんし、現金化もそんなに遅くありません。
まったく4月にしている理由がないんです。
受験期の雪やインフルエンザの影響がない
毎年、降雪によって交通がストップし、受験に影響が出る学生が多く存在します。
そんな不運は可哀そうだと思いませんか?
それに夏が受験であれば、インフルエンザが流行することもありません。
これは大きなメリットです。
デメリットのほとんどが実現後に存在しなくなる
デメリットを先に紹介しましたが、そのほとんどが9月入学・新学期が導入されて5年もすれば存在しなくなります。
まず、「ギャップイヤー」「ギャップターム」などはその年にしか発生しません。
それに9月入学・新学期に対応するために使用した費用も、数年も経てば影響は少なくなります。
何か大きな変革がある時は、その準備が大変なだけで終わった後はより良く変わっているものなんです。
準備が大変なんていうしょうもない理由を出し始めたらキリがなく、何も変革なんてできません。
どちらになったとしても早期決定が必要
現在、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関しての対応は、どの国も後手に回っていることが非常に多いです。
ドイツなどは医療崩壊を起こす前に緊急以外の手術を延期させて、病院を開放したりなど先手を打っているイメージはありますが…。
9月入学・新学期が実現するとなれば、学校・企業・自治体・家庭のどれもに多大な影響が出ます。
はい。では、今からお願いします。なんて簡単にいきません。
実現するしないに関わらず、早期に方針を決定していただきたいですね。