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【2020年4月】未払い賃金請求の時効が5年に延長される件

「うちの会社は残業代なしだから」「退職で残業代請求したいけど2年程度なら諦めよう」

そんな方に朗報です。

今までは、残業代などの未払い賃金を遡って請求する場合、最大で2年まででした。

それが、5年に延長されるという話です。いいですね。

解説していきましょう。

この記事を読むのに必要な時間は約 4 分です。

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今まで未払い賃金請求は2年間まで限度だった

今まで、残業代などの未払い賃金があったとしても、遡って請求できるのは2年が限度でした。

こんな制度では、普段は残業代を払わずにいて、請求された時だけ払うといった悪質な会社が増えるばかりでした。

たとえば、法令順守しているような会社と比較してみましょう。

厳密に計算するとめんどくさいので、あくまで単純計算した場合で算出します。

10人に対して、毎年500万円分の残業代が発生するケースで考えます。

法令順守ケースの支払残業代

10人に対して毎年500万円であれば、支払う残業代は2年間で1,000万円ですね。

請求された時だけ支払うケースの支払残業代

請求された時だけの場合、請求する人が全員とは限りません。

たとえば、8人が請求したと考えましょう。単純に2年間で800万円だけを支払えばいいと思いがちですが違います。

未払い賃金には、年利14.6%の遅延利息を付けて請求することが可能です。

福利計算もめんどくさいのでなるべく簡単に計算します。

8人なので年間400万円ということは、月におよそ37.5万円の残業代が発生します。

1月目の未払賃金は、37.5万円ですが、365日×2年で730日分の遅延利息が発生するため合計でおよそ48.5万円となります。

2月目の未払賃金は、365日×2年で730日分-30日分の遅延利息が発生するため合計でおよそ48万円となります。

同じように毎月の給与発生日から実際に請求して支払われた日までの遅延利息をプラスして計算していくと、2年間の合計額は1,038万円となりました。

遅延利息があったところでこの程度の金額にしかなりません。

実際は、未払い賃金を8割の従業員が請求することはほとんどありません。

多くても半分、まったく請求しない従業員がほとんどです。

これでは、会社は普段の残業代は払わない方が得ですね。

未払い賃金請求の時効が5年になるとどうなるか

前述している計算方法と同じように計算します。

法令順守ケースの支払残業代

10人に対して毎年500万円であれば、支払う残業代は5年間で2,500万円ですね。

請求された時だけ支払うケースの支払残業代

同じように8人が請求した場合で計算します。

8人なので年間400万円ということは、月におよそ37.5万円の残業代が発生します。

1月目の未払賃金は、37.5万円ですが、365日×5年で1,825日分の遅延利息が発生するため合計でおよそ64.8万円となります。

2月目の未払賃金は、365日×5年で1,825日分-30日分の遅延利息が発生するため合計でおよそ64.4万円となります。

同じように毎月の給与発生日から実際に請求して支払われた日までの遅延利息をプラスして計算していくと、5年間の合計額は3,095万円となりました。

期間が延びた分、遅延利息で本来の支払残業代を上回りました。

ちなみに5人が請求した場合だと、およそ1,716万円となり本来の支払残業代を下回ります。

結局は、普段から残業代を未払いにする会社が得するケースの方が多そうです。

時効が伸びることによって、請求者の割合が増えることを期待

いくら時効を伸ばしても未払い賃金請求者が少ないと結局会社が得をしてしまうことがわかったと思います。

今までに2年間という縛りのために諦める人が多かったのも事実です。

私も計算するとたいした額にならなかったため未払い賃金請求を諦めた経験があります。

5年間ともなれば、個人的に入ってくる収入が多くなるため請求者が増えることでしょう。

そうなれば、企業側も損をしてしまうため普段から残業代を払う会社も増えると思われます。

良いスパイラルになりそうです。

当面は3年の時効となる?

記事執筆中の2020年3月12日時点では、2020年4月の民法改正では3年間になりそうな気がします。

また、確定時効が出たら追記します。

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